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LEASON ELLIS(米国)事務所からのご訪問

2018年11月8日(木)、米国のLEASON ELLIS事務所」から、弁護士 Melvin C. Garner氏、Jordan Garner氏、米国パテントエージェント Mitsu Haraguichi氏が来所され『米国102条及び103条に基づく拒絶への対応、及び関連する判例』についてご教示頂きました。

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後列左より、Jordan Garner氏、Mitsu Haraguichi氏、Melvin C. Garner氏

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セミナー風景

議題:第102条/第103条による拒絶への対応

 

第102条/第103条による拒絶

 先行技術とは、基本的に、有効出願日(Effective Filing Date)前に、世界のいかなる場所において発行された特許、刊行物、公共での利用、販売、または一般公開されたものである。

 

米国特許出願に関しては、公開された場合「先行技術」となるが、公開された日が先行技術としての基準日となるわけではなく、あくまでも当該特許出願の「出願日」が基準日となる。

 

「このように、米国特許出願の場合、「出願日」に基づいて、先行技術であるか否かの判断がなされるので、公開に至っていないいわゆる「隠れた先行技術」に留意する必要がある。」(Melvin C. Garner談)

 

猶予期間(Grace Period):発明者が最先に発明を開示し、当該開示から1年以内に特許出願した場合、開示に係る発明は先行技術とならない。また、猶予期間内において、発明者による発明の開示の後、他者が再度当該発明を開示したとしても、先行技術を構成しない。

 

第102条(a) (2)の例外:同一発明者による、或いは譲渡義務や共同研究契約により同一発明者が出願人となった米国特許または出願公開は先行技術とはならない。

 

第102条/第103条に基づくOAへの対応としては、まず引例が「先行技術」の要件を満たすか否かを判断した方がよい。

(例)GoPro v. Contour IP Holding 事件

<概要>一般非公開で、約150店舗の出店があり、約1000人が参加した見本市で配布されたカタログに記載されている内容は先行技術を構成するか否か。

 

公的入手可能性 (Publically Available)の考え方:ある程度の努力(Reasonable Diligence)を払って、関係する公衆(Interested Member)がその情報を入手できるかどうか。

 

当該見本市は一般非公開であったものの、当該カタログは、関係する公衆がある程度の努力を払って入手し得たものであるため、第102条(b)に基づき、カタログに記載の内容は先行技術とみなされた。

 

第102条に基づく拒絶への対応

(1)本願の請求項中に、先行技術と区別できる用語の有無を確認する

 

(2)本願の発明に対し、先行技術中に「反対の教示」(Teach Away)が存在するか否か、または先行技術自体が「異なる技術分野」(Non-analogous art)に属するものであるか否かを判断する

第103条に基づく拒絶への対応

(1)引例の先行技術の組合せは機能せず、本願の発明と同じ結果をもたらさないことを主張する

 

(2)複数の引例を組み合わせる示唆がないことを主張する

(例)Orexo AB v. Actavis Elizabeth 事件

 <概要>たとえ先行技術を改変することで、本願請求項に記載の発明に想到することができたとしても、先行技術「中」に改変(または組み合わせ)の示唆がない限り、本願発明は自明であるとはいえない。

(例)ParkerVision, Inc. v. Qualcomm Inc. 事件

<概要>本願請求項の要件を満たす操作を行う装置が引例に開示されている場合、たとえ全ての操作モードで可能でなくても、その引例は新規性又は非自明性における先行技術となり得る。

 

方法クレームの無効を主張するためには、当業者に引例を組み合わせるだけの「動機付け」があるとともに、当該組み合わせがもたらす「成功に対する妥当な見込み」(Reasonable Expectation)がなければならない。

 

第103条に基づく拒絶への対応(範囲の重複)

本願請求項の範囲が、先行技術の範囲と「重複」する場合、自明とされる (Prima facie case of obviousness)

 

回避するための4つの方法

  • 本願の範囲が新規な又は予期せぬ結果をもたらすことを主張する

  • 先行技術の範囲が、本願の範囲に対して「反対の教示」(Teach Away)をしていることを主張する

  • 先行技術の範囲が広すぎるため(例 1% ~99%)、ルーチンによる最適化は不可能であることを主張する

  • 先行技術の範囲(パラメータ)は、特定の結果と結びつく変数ではない(結果有効値ではない)ことを主張する

 

好ましい範囲、より好ましい範囲~という具合に複数の範囲を実施例中に記載しておくのが一番望ましい。それでも、例えば、1つしかない範囲を狭める補正は可能ではあるが、サポート要件を満たさなければならない。Declarationはあくまでも補助的な説明資料として扱われる。」(Melvin C. Garner談)

 

筆: 王 稔豊盛

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