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KOREANA事務所からのご訪問

2023年4月6日に、KOREANA事務所(韓国)の代表弁理士イ スンホ氏と弁理士ユン ジンフン氏が来所され、韓国特許法改正で新たに導入された制度等について解説して頂きました。

特許法人KOREANA様.JPG

1. 分離出願制度の導入
2. 補正案レビュー等面談の利用
3. その他

1. 分離出願制度の導入

 拒絶査定時に拒絶理由を有しない請求項のみを別途分離して出願する「分離出願制度」が導入された。
分離出願が可能な時期は、拒絶査定不服審判の棄却審決謄本の送達日から30日以内であり;分離出願が可能な範囲としては、(1)拒絶査定において拒絶されなかった請求項、及び(2)拒絶された請求項から拒絶査定の基礎となった選択的事項を削除した請求項、が挙げられる。
 ここで、分離出願が可能な範囲に違反した場合は、拒絶査定や無効審判の対象ともなる。分離出願日は原出願日まで遡及し、分離出願に基づく新たな分割出願を行なうことはできない。また、分離出願の請求の範囲は、「拒絶理由を有しない請求項」のみで構成されているのものの、新たな出願という位置付けである為、必ずしも特許査定が確約されるものではない(分離出願に係る審査の際に、審査官が新たな拒絶理由を通知する場合もある)。
 このような制度が導入された背景としては、従来、拒絶査定不服審判の請求時に審判請求と別途予備的な分割出願をする以外に救済の道がなかったことが考えられる。

2. 補正案レビュー等面談の利用
 審査段階で活用できる制度として、「補正案レビュー(面談)」が挙げられる。
 意見書提出期間の満了日の1月前までに補正案を提出した全ての出願が対象となり、出願案件ごとに1回のみ利用することができる。また、補正案レビューの際には、複数の補正案を審査官に提示することもできる。
 補正案レビューの効果としては、(1)拒絶理由解消の可否等を最終的な補正書を提出する前に把握して対応することができるようになることや、(2)審査官との面談時に合意に達した補正案で対応するため、不要な拒絶理由が新たに通知されることを回避することができることが挙げられる。
 このような審査官との面談は、拒絶理由通知に対する応答時のみならず、再審査段階(再審査面談)、審判段階(審判事件説明会)でも行われている。韓国では、拒絶査定不服審判で請求認容審決がなされる確率はかなり低いが、審判事件説明会を利用することで僅かに上昇する傾向がみられる。

3. その他 

手数料の返還
 先行技術調査の結果通知があった後に出願を取り下げ又は放棄する場合でも、審査着手前であれば、審査請求料が100%返還される。
 最初の拒絶理由通知の後、意見書提出期間の満了前に出願を取り下げ又は放棄する場合、審査請求料の1/3が返還される。


以上
 

筆:弁理士 王 稔豊盛

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