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Barker Brettells事務所からのご訪問

19世紀の半ばに創設され、英国のバーミンガムに本部を置くBarker Brettell 事務所より、Dr. Tranter及びMr. Braddon が弊所虎ノ門オフィスを訪れました。

同事務所には、特許弁護士が22名所属しており、従業員の総数は約109名にも上ります。あらゆる技術領域をカバーする同事務所は、 主に"ハイテク"物理学/エレクトロニクス、バイオテクノロジー、化学及び商標の分野に特化しているようです。

 


1.欧州統一特許制度の年金(Unitary Patent)
欧州統一特許制度の年金(出願から特許査定までのもの)は、4又は5ヶ国の国に別々に出願した場合の額に相当する額になるようです。従って、同制度は、4又は5ヶ国以上の数の国で権利化を目指す場合にのみ有益となります。

具体的に、4ヶ国に出願した場合の額に相当する額となるのか、又は5ヶ国に出願した場合の額に相当する額となるのかは未定ですが、同年金の最初の10年分は割安となるようです。

「特許出願が係属して19年目に達しようとしているのに、未だ特許査定とならず、年金のみを納付し続けているクライアントもいる。そのため、Unitary Patent と言えど、同制度の下で制定される年金の額は非常に気になる。」(Dr.Tranter談)


2.色彩のみからなる商標(イギリスの場合)
Barker Brettellは、イギリス国内のとあるチョコレートメーカーによる商標登録出願の際、代理人を務めたことがあります。

同出願に係る商標はいわゆる色彩のみからなる商標で、「紫色」のみからなる商標でした。上記に係る願書には、当該「紫色」が「Predominantly Purple」とのみ表現されていたため、同じく紫色を自己の商標に用いるNestleによる異議申し立てにより、登録されることはありませんでした。

その理由は、「Predominantly」なる表現が「紫」系の色全般を網羅し、商標権の効力の範囲を不当に拡張させるおそれがあったためでした。

「そもそも、色彩のみからなる商標について登録を受けようとした時、当該色彩の表現の仕方が非常に重要である。中には、色彩学でいう特定の色彩トーンの記載を求められる場合もある。」(Mr. Braddon談)


3.ハーグ協定のジュネーブ改正協定による国際意匠出願
日本側の出願人が、国際出願による意匠登録出願を行う際、提出を求められる図面の数は、同制度を利用しない場合のそれよりもはるかに多いようです。

 例えば、英国でのみ意匠登録出願を行う場合、日本側の出願人が提出すべき図面は一枚のみである。すなわち、意匠の特徴が顕著にみられる図面が一枚のみあれば良いといことになります。それに対し、国際出願を利用する場合、上記に係る提出すべき図面が複数枚となるため、保護を求める意匠権の範囲が図面の数だけ、狭くなるおそれがあります。

 「事前に図面等を我々に送ってもらえれば、国際出願による意匠登録出願または通常の意匠登録出願のどちらがクライアントにとって有益かを判断できる。」(Dr.Tranter談)


4.職務発明の対価にみる日英間の相違
 日本とは違い、イギリスでは「Significant」又は「Outstanding」な発明をした場合にのみ、職務発明の発明者は使用者等より対価を受けられる可能性があるようです。

 ただ、何を以って「Significant」又は「Outstanding」とするのか、すなわちこれらの文言の定義は非常に曖昧で、依然企業に所属する発明者が不遇な扱いを受けているようです。

 また、職務発明による発明がその後、「Significant」又は「Outstanding」なものに転じる場合もあるため(青色発光ダイオード同様)、使用者(企業等)側が予測不能な結末に見舞われることもあります。

 

筆: 王 稔豊盛