top of page

 Louis Del Juidice先生、安田浩之先生は、日本訪問の度に弊所に来て下さり、親しくさせていただいております。今回初めて、弊所にClark G. Sullivan先生をお迎えし、米国における医薬品の特許出願戦略についてお話ししていただきました。


 米国食品医薬品局(FDA)で承認を取得する際、FDAは、後発品企業に対して先発医薬品と同一の処方内容を勧めます。そこで、先発医薬品のラベル(日本で言うところの添付文書)に記載すべき内容についての特許を取得することにより、後発品企業が同一内容のラベルで承認取得すると、不可避的に特許権侵害となる場合が発生します。よって、先発医薬品企業は、FDAから承認取得する際のラベルに記載する事項について特許取得を行う特許出願戦略が有用と説明されました。また、その応用例として、例えば、先発品が他剤と使用することによる効果をラベルに記載し、同時に、その併用についての特許を取得することは、米国では有効な特許出願戦略となると説明されました。


 一方、日本では、先発品が他剤と使用することを添付文書に記載し、先発品企業がその他剤との併用の特許を取得した事例において、後発品が先発品と同様の添付文書で厚生労働省の製造販売承認を取得し、後発品を販売するとしても、単に先発品と同じ単剤を販売するだけでは、例え、添付文書に併用の記載があるとしても、特許権侵害とは認められないと判示した事例があります。そこで、併用特許について、米国と日本とで相違した結果になることについて、議論がなされました。


 いずれにしても、日米の両国において共通して独占的実施に有効な特許取得のための戦略が必要であり、両国の薬事制度の共通点及び相違点を十分に理解した上で、医薬品の特許出願戦略を講じる必要があることの示唆をいただき、有意義な時間でした。


 ご訪問、誠にありがとうございました。

筆: 弁理士 田中 淳二

bottom of page