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1.予備的請求 (Auxiliary Request)

2.口頭審理等における訂正

3.UPC (統一特許制度)への参加(opt in )又は不参加(opt out)

4.Intention to grant への応答 

 

 

1. 予備的請求 (Auxiliary Request)

 EPCの下では、拒絶理由通知等に対する応答時に、複数のクレームセットを提出することができる。その内、出願人が第一希望として権利化を望むクレームセットを「主請求」とし、それ以降のランクのクレームセットを「予備的請求」とする。「予備的請求」に係るクレームセットの数に上限はないが、実務上「主請求」に係るクレームセットを含めて、合計で10クレームセット以下が理想である。

 

 「主請求」及び「予備的請求」の審査は、出願人指定の順位に従って行われる。初めに、「主請求」に係るクレームセットのみが審査され、特許査定不可と判断した場合に「予備的請求」に係る最初のクレームセットから順に審査を行う。

 特許査定可能との判断を下した「予備的請求」に係るクレームセットよりも下位のクレームセットについては、審査を行わない。ただし、審査官は、特許査定不可との判断を下した上位のクレームセット(「主請求」を含む)についての拒絶理由を通知するものとする。

 

予備的請求制度は、審査段階のみならず、権利化後の異議申立手続及び各種審判手続き等においても利用することができる。

 

(予備的請求制度の利点)

比較的早期の権利化を図ることができる。特許査定不可との判断を下されたクレームセットの各々についての拒絶理由(情報)を一回のアクションで知ることができる。

 

(予備的請求制度の問題点)

審査官は、より下位の「予備的請求」に係るクレームセットを許可とする傾向にある。

 

「明確なビジョンと知財戦略を掲げる日本の出願人の多くは、予備的請求制度を利用したがらず、一つのクレームセット(主請求)のみで権利化を目指す傾向にある」

2. 口頭審理等における訂正

(例)

1. A+B

2. according to claim 1+C

3. according to claim 1 or 2+D

 

請求の範囲の記載が上記のような場合、A+B+C+Dへの訂正は、請求の範囲「そのもの」の記載を基にしたものであるため、当然に認められる。

 

しかしながら、明細書中に、「温度範囲40~60oC」という特徴が記載されている場合(以下、特徴Xとする)、A+B+X等への訂正は可能なものの、発明A+B+X「そのもの」が明細書中に開示されている場合がより好ましい。

 

3. UPC (統一特許制度)への参加(opt in )又は不参加(opt out)

 

「来たる欧州統一特許制度の施行に際して、出願人に同制度への参加の意向を伺わなければならない。分野別で対応が異なる場合がある。」

 

現状の傾向としては、黎明期にある最新の技術に係る案件(特に、化学、薬学の分野において)については、統一制度の利用を望む出願人が多い。

 

逆に、飽和状態にある技術に係る案件については(例えば、機械、電気等の分野において)、権利化後、統一制度加入国全域に亘って、無効審決等が確定することを恐れて、同制度の利用を希望しない出願人が多い。

 

4. Intention to grant への応答

 

EPOから通達される「Intention to grant」への応答のタイミングいかんによっては、45,000ユーロもの金額を節約できる場合がある。

 

Zacco事務所では、各々のクライアントのポートフォリオを作製し、上記節約できる金額の算出をする独自のシステムの開発に成功した。当該システムについては、既に特許権を取得している。

 

「たとえ日本側の出願人ご指定の欧州代理人が弊所でなくても、このシステムを駆使したサービスを貴所に提供することができる。応答のタイミングを貴所の方から、その欧州代理人に伝えてもらうだけで良い。節約した金額を各国での翻訳料に充てることができる。」

 

 

​筆:王 稔豊盛

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